ピアサポートとは
「ピア」は英語のpeerで、仲間、対等、同輩を意味します。「サポート」は英語のsupportで援助を意味し、「仲間同士の支え合い」を表します。
近年ピアサポートという言葉を聞くことが増えてきたようです。特に当事者間でのかかわりとして、精神保健福祉領域はもとより、ガンを経験した人同志、子育てをする親同士などの意味で、ピアサポートという用語が使われはじめています。
当法人では、「若者」であったり、「親・家族」であったり、そうしたくくりでの支え合いを表し、大事にしているのは「対等な関係」です。
創設以来、専門家との間で生じる上下関係の弊害を除し、対等な立場で親身に対応することが、信頼関係を築く上で大切と考えています。
ピアサポートは何のためにするのか
ピアサポートは互いに幸せになるための活動です。アドラー心理学の創設者アルフレッド・アドラーは、幸せになるための3つの条件をあげています。私たちは、以下の3つを目指します。
- 自尊感情があること
- 他人と親密な人間関係を築けること
- 貢献感
ピアサポートは リカバリーの一歩を踏み出すきっかけになる
リカバリーは、病気からの回復に止まらず、病気や障害にとらわれない自分らしい生き方を求めるプロセスを指すように精神保健福祉領域ではなってきました。
当法人では、生きづらさを感じ、困難な状態にある概ね50代ぐらいまでの本人とその家族とのかかわりがあります。どんな状況に置かれていても、その人らしい生き方求めていることを信じて、かかわっています。
ピアサポートは 地域包括(コミュニティー・インクルージョン)への最大の架け橋
ピアサポート研究の第1人者である聖学院大学相川教授によれば、「SAMHSA(アメリカ連邦保健省薬物依存および精神保健サービス部)は2015年に”ピアサポートとソーシャル・インクルージョン”を提示し、ピアサポートはリカバリーを促進し、コミュニティでの所属感を高めるとし、ピアサポートの推進を強調しています。
フィラデルフィア市には「ピア文化とコミュニティ・インクルージョン」という部署があり、ピア文化を広げることにより多様な人々と共に生きるコミュニティ・インクルージョンを推進しています。
ピア文化とは、多様性を認めあい(ダイバーシティ)、自由で対等な関係性の中でありのままの自己を語り合える文化と考えます。
そして、ピア文化の最大の促進者は、可変力動的なポジションを備え持ち、自らの経験の語りを通してつながりを紡いでいくピアサポーター(支援する、かつ、されるポジション)です。(特定非営利活動法人ピアサポートネットしぶや「若者の自立を支援するピアサポートのあり方」より)」とあります。
当法人は、地域とのかかわりも深く、渋谷区は、「ちがいをちからに変える街。渋谷」を掲げています。ピアサポートを冠に事業を展開してきたので、ピア文化を広げていきたいと思っています。