6月18日、「刺身が食べたいな」「魚は食べてないな」「魚食べたい」避難所内外でそんな声を多く耳にしました。とにかく何があっても「魚をやろう」という覚悟を決めて、盛岡地域若者サポートステーション(以下:サポステ)の新田さんを通じて、鮮魚店をあたってもらうことになりました。
炊き出しではメインに鮭の焼き魚、汁物として、サポステが炊き出し活動を行った際に好評だったさつま汁を作ることにしました。
7月4日、宿泊先となった若者チャレンジ合宿所を早朝5時半に出発し、6時に鮮魚店から切り身を受け取り、一路、安渡小学校に向かいました。安渡小学校には9時に到着し、調理場を貸していただき、汁物はサポステを中心に調理を始めました。初参加の山名さん、辻本さんには、汁物の下ごしらえをお願いし、大量の野菜と格闘していただきました。
切り身には塩をまぶし、2時間ほど置き、その間に付け出しのレタスを洗い、準備を進めました。バーベキューコンロをフル稼働させ、11時半から焼き始め、調理場責任者に声をかけられた高校生が焼き魚を担当してくれました。また水産加工業者で品質管理を行うプロの方にお手伝いいただきました。いろいろな方にかかわっていただき、言葉を交わし、そうしたなかから3月11日以降の暮らしに触れる機会が生まれていきました。
手伝ってくれた高校生の吸収力にはびっくりしました。大人からやり方を教わり、見よう見まねで始め、ポイントごとに大人から声がかかります。それをしっかり受け止めて、どんどんとひとりで進められるようになっていきます。その間もやさしく気にかける大人の視線があり、それがなんともいい雰囲気でした。
支援する側、される側ではなく、みんなで一緒に250食分を作り、分担して食事を配ります。「これから食事をくばりますので、お集まりください」と放送がながれると体育館、教室から多くの方々が食事を取りに出てきます。手を合わせている方、「ありがとう」と声をかけてくれる方、「今日はお魚をお持ちしました」と理事長が挨拶をすると、驚いたような「おっー」との声があがりました。
食事を配りはじめると、家族の人数を伝えてくれます。「今日はお魚だから・・・」といいながら、笑顔を浮かべてくれる方、「ありがとう、ありがとう」と頭を下げる方など、なんだか照れくさい感じがしました。
片付けも終わり、災害本部のあるテントに挨拶にいくと「久しぶりに魚を食べました、ありがとう」と涙を浮かべて「みなさんも喜んでいると思います」と感謝されました。
喜んでいただけたことが、とてもうれしくて言葉にならない、そんな炊き出し活動でした。
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ピアサポーター・ユースワーカー・現地調査担当
石川 隆博(Profile)
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